1991年牝馬三冠勝ち馬列伝・編集後記
「サラブレッド列伝」の中には「牝馬は牡馬より弱い」・・・そんな常識を前提にして、その中でも牡馬に伍して戦った牝馬を称えたり、牡馬たちに無残に敗れ去った牝馬の哀切を謳ったり、そんなストーリーをたくさん書いてきたのですが、ここ数年に現れたアーモンドアイとかクロノジェネシスとかグランアレグリアとか、ありゃなんなんじゃ。。。
というわけで、サラブレッド1頭ごとに列伝を立てるのが原則の「サラブレッド列伝」の中で、この原則を崩した上にシリーズ化した「牝馬三冠勝ち馬列伝」ですが、今それをやろうとしたら、男女平等の観点から(?)問題が生じていたかもしれません。20年前だからこそ許された「牝馬三冠勝ち馬列伝」への最初の試みが、1991年の3頭でした。気がつくと、1984~2000年の牝馬三冠の中で、勝ち馬がすべて別、かつこの3頭が別のGlを勝っていないという「牝馬三冠勝ち馬列伝」の裏条件を満たしながらもまだ書けていないのは、1990年と2000年の2つだけというから、実は書き勝手の良いシリーズなのです。
すっかり忘れていたけれど、この列伝は、桜花賞のレースから実質スタートしてたんですね。。。昔の私は自由だった。
シスタートウショウ、イソノルーブル、リンデンリリー・・・牝馬三冠時点では素晴らしい戦績を残しながら、それで燃え尽きたかのように、それ以降は振るわない戦績に終わったのが、この年の3頭の特徴です。騎手たちも、角田晃一、松永幹夫、岡潤一郎・・・うち2人は現代競馬と間違いなくつながってはいるのだけれど(岡騎手・・・涙)、牝馬三冠勝利騎手が、20代前半の日本人若手騎手3人の組み合わせで成立することが、まるで異世界のように感じられてしまうのが、変わってしまった競馬界を物語っています。