オフサイドトラップ列伝・編集後記
サラブレッド列伝の中で最も新しい完結列伝「ビッグウルフ列伝」の完結が2007年11月でした。・・・14年ぶりにしれっと完全新作投入していたりします。「オフサイドトラップ列伝・1998年11月1日の悲劇」です。
オフサイドトラップというと、列伝のコンセプト的に「まだ書いてなかったのか」というくらい列伝的なGl馬です。彼は、屈腱炎を克服し、旧8歳にして悲願の重賞、そしてGl制覇を果たすも、自分とは無関係な悲劇によってその栄光をかき消され、不当な扱いを受けてきました。ウマ娘ですら、同馬主のエルコンドルパサーは実装済だから許可が出ないはずはないのに、存在そのものを抹殺されたうえ、自身の天皇賞での役回りもエルコンドルパサーに奪われました。しかし、そんな彼を支えた厩舎関係者の苦労や、馬主の父子二代の思い入れと執念は、競馬を彩る物語として、軽んじられてはならないのです。
しかし、retsuden.comは個人サイトなので、そうしたところに直接取材するルートなどありません。従って、物語を構成する材料集めは、既存メディアの記事に頼らざるを得ないのですが、オフサイドトラップの場合、厩舎関係者はともかく、馬主の物語性に注目してネタを集めてくれる記事がなかなか見つかりません。馬主へのインタビュー記事はあるのですが、同時期に活躍したエルコンドルパサーに分散・・・というより、そちらがメインとなっているため、マスコミもオフサイドトラップについて深みのある材料を引き出し切れていないのです。嗚呼、どこまで列伝のコンセプトに忠実な馬なんだ・・・T△T
というわけで、父がプレストウコウで勝てなかった天皇賞を、息子がオフサイドトラップで勝ったという点に注目してストーリーを組んでいったわけですが、欲を言うなら、父親自身のオフサイドトラップ優勝を踏まえたコメントが欲しかったところです。
他にも、「前に出すぎた敵を嵌め殺す=オフサイドトラップ」という出来すぎたサインも材料候補としてはあったのですが、こちらは最終的に断念しました。そもそもサイレンススズカの大逃げは、オフサイドトラップ陣営にはめられた結果というわけではありません。何より、書き手に14年ものブランクがあるので、あまり手を広げすぎるとまとまらないおそれがあります。
そういうわけで14年ぶりに送り出した列伝新作です。不出来な部分もあろうかと思いますが、生温かく見守っていただけましたら幸いです。
ところで、オフサイドトラップの天皇賞でのウイニングライブはどんな感じだったんだろう・・・?