97年春のクラシックの思い出 ~2~
私の記憶が正しければ、友人が教えを乞うてきた時期は、皐月賞のトライアルが終わり、皐月賞本番を待つ段階でした。
弥生賞(Gll)ランニングゲイル、オースミサンデー、サニーブライアン
スプリングS(Gll)ビッグサンデー、メジロブライト、シャコーテスコ
若葉S(OP) シルクライトニング、シャコーテスコ
前年の朝日杯王者マイネルマックスは故障で戦線を離脱していて、遅れてきた大器サイレンススズカは弥生賞で厩務員さんを追いかけてゲートをくぐって大暴走、惨敗したため出走不可。・・・一見さんの初予想に適しているとは思えない難解なレースです。
そんな私の心配をよそに、友人は興奮気味にこんなことを言ってきました。
「画期的な予想システムを考えたぞ!吾輩が考えた『追い込み指数』をみてくれ!」
「追い込み指数???なんだそれは???」
「過去3走の上がり3ハロンのタイムこそがその馬の潜在能力と考えて、それをもとに馬の絶対能力を計測したのだ!」
「・・・前半のペースや展開とかは考慮しないのかい?」
「・・・馬の絶対能力が重要なのだ!」
「・・・では、その指数は『強い逃げ先行馬』の実力をどう反映しているんだい?前半でリードを保っていれば、上がり3ハロンが遅くても、勝ったり上位に残ったりする馬は多いわけだが」
「・・・」
頭が痛くなってきました。
謎の「追い込み指数」が最終的に採用されたかどうかは定かではありませんが、結局彼は本命に「メジロブライト」を指名。
「ブライトは1番人気になってもおかしくないんだが、『固いレースは面白くない』とか言ってなかったか?」
と煽ってみたのですが、
「配当がついても、当たらないと意味がないだろう」
…そこは正解。何はともあれ、
「面白いものが見られそうだぞ」
と彼との共通の友人に声をかけたところ、競馬を全く知らない友人も含めた数名が皐月賞当日は彼の家に集まり、皐月賞というより彼の様子の観察を楽しむことになりました。