最近、「サラブレッド本紀＆列伝」と20代の私の物書きとしての適性が、がっちりとかみ合っていたことに気づいてしまいました。

私にフィクションを書かせた場合、編集者との間でこんなやり取りが繰り広げられたことでしょう。

「女子高のJKがわちゃわちゃ楽しく騒ぐところを描け」

「…無理です！」

人類の半分を描けないというのは、本来、物書きとしてはかなり致命的な欠陥です。

しかし、「サラブレッド本紀＆列伝」には、人間の女性って何人くらい登場しているでしょうか…？生産牧場の奥さんくらいしか出てこないような気がします。20世紀の競馬という、人間の女性を描かずに完結できる世界は、私が致命的な欠陥に全く直面することなく、縦横無尽に筆を走らせることができた楽園だったのです。

「サラブレッド本紀＆列伝」…それは、「愛と誠」などでいちおう女性や恋愛にもふれている梶原一騎をもはるかに上回る「男の世界」だったのだと思い知りました。。。