97年クラシック戦線の思い出~3~
皐月賞当日、前日のうちにウインズでメジロブライトがらみの馬券を購入してきた友人方に私を含めた馬仲間が集結しました。目的は、もちろんメジロブライトに賭ける彼の様子を楽しむためです。当然のことですが、馬のことは全く分からない彼の前で、我々経験者たちはパドックで好き勝手なことを語り合います。
・・・しかし、その中に1頭、掛値抜きに物凄く良く見えた馬がいました。
「あいつ、すごく良くないか?」
「…お前もか?いや、俺まったくノーマークだったんだけど、すごくよく見えるんだ…」
「まさに内に秘めた闘志というか、そのときを待つ青い炎というか…」
「そ、それは俺のブライトか?そうだよな?」
「いや」
「違うな」
その馬は、18頭の出走馬の中で8番人気、馬体が一番小さいエリモダンディーでした。
「ああ、ここがウインズならエリモダンディー単一点に突っ込むのに…どうしてくれるんだ!w」
「そうだそうだ!www」
「あの…ブライトの出来はどうなんでしょうか…」
「ブライト?…うん、まあ…悪くもないんじゃないかな…(www)」
という感じで散々もてあそんだのですが、レースはご存じの通り。
「メジロブライトが一番後ろなんだが!?」
「追い込み指数なる画期的な概念を考案した旦那のセリフとも思えませんなwww」
「なんか知らん馬が気持ちよさそうに先頭を走ってるんだが…」
「サニーブライアン?うーん、馬柱で見た以上の情報がないから大丈夫なんじゃね?」
「ちょwwwそのサニーブライアンが最後の直線で突き放すwwwww」
「おい!誰だよ!?サニーブライアンなんて大丈夫って言ってたやつは!?wwwww」
「ブライトォォォォォ!?」
「おおっ、ブライトが来てる!来てる!来た!」
「俺のブライトォォォォォッ!!!」
「でも届かんな…」
「ぎゃああああああっ」
というわけで、ノーマークだったサニーブライアンの勝利、メジロブライトは追い込むも届かず、友人の部屋には馬券吹雪が舞い散りました。
「うおおおおお、俺の金があああぁぁぁ!」
と鬼哭の嘆きをあげる友人を、
「いやいや、ブライトは強かった!初見であの馬の強さを見抜いた旦那にはきっと馬を見る才能がある!真の勝負は日本ダービーだ!」
と他の馬仲間ともども励まし、もう一度楽しもうとする悪い愉悦にひたる私なのでした。